結婚アドバイザー認定試験
学習資料
8.新婚旅行
結婚式という人生の節目を迎えたふたりにとって、もう一つの大きな節目となるのが「新婚旅行」です。
結婚の実感を深め、夫婦としての最初の共同体験を持つ機会として、多くのカップルが楽しみにしているイベントの一つでもあります。
新婚旅行(ハネムーン)は、結婚後の新郎新婦がふたりきりで初めて迎える「特別な時間」として、多くの人に親しまれてきました。日本では昭和30年代から「新婚旅行」が一般化し、当初は熱海や伊豆、京都・奈良など国内の温泉地が定番の行先とされていました。その後、1970年代〜1980年代にかけて航空網の整備と経済成長により、ハワイやグアム、ヨーロッパなど海外への新婚旅行が一大ブームとなり、「海外で過ごす非日常の時間」があこがれの象徴となっていきます。
現代では、旅行スタイルもさらに多様化し、長期休暇を利用したリゾート滞在型の旅行から、少人数での短期旅行、フォトウェディングを兼ねた海外挙式+新婚旅行(ハネムーンフォトツアー)まで、その形はカップルごとのライフスタイルに合わせて変化しています。
また、新婚旅行には以下のような意義があるとされています。
①結婚の実感を共有する“区切り”としての儀式性
②日常から離れてふたりだけの時間を過ごす“心の準備期間”
③今後の夫婦生活の土台となる“思い出づくり”
これらの意義があるからこそ、旅行先の選定や予算の検討には慎重に時間をかけるカップルが多く見られます。
次に、(1)新婚旅行の行先に関する最新の人気ランキング、(2)新婚旅行にかけた費用の分布といった調査結果を紹介して、現代の傾向とニーズを読み解いていきます。
(1)新婚旅行先人気ランキング
新婚旅行の人気の行先は、近年では、海外のリゾート地はもちろん、国内旅行にも注目が集まっており、移動のしやすさや感染症対策、予算面などを考慮して目的地を選ぶ傾向が見られます。ここでは、新婚旅行の行き先について、最新の調査結果をもとにご紹介します。
調査結果を見ると、最も人気が高かったのは「沖縄周辺」(20.0%)で、国内旅行の中でも安定した支持を集めていることがわかります。青い海と白い砂浜、美しい自然、そしてリゾート感を満喫できる点が、多くのカップルにとって魅力のようです。続いて、「ヨーロッパ」(15.9%)と「北海道周辺」(12.3%)が高い割合を示しており、海外の文化や歴史ある街並みを楽しみたい層と、国内で非日常を味わいたい層のニーズがはっきりと分かれる傾向も見受けられます。
また、「ハワイ」(10.8%)は依然として人気を誇っており、定番のリゾート地として根強い支持があることがうかがえます。一方で、「アジア(5.4%)」「グアム(2.2%)」「インド洋ビーチ(2.6%)」など、比較的コンパクトで過ごしやすい海外旅行先も一定数のニーズがあります。
国内に目を向けると、「九州周辺(6.8%)」「東京周辺(6.4%)」「関西周辺(5.7%)」など、日本各地に幅広く新婚旅行先が分散していることがわかります。地元食材や温泉、自然景観など、夫婦でゆったりと楽しむ旅行スタイルが定着してきているといえるでしょう。
なお、「その他日本国内(8.1%)」や「その他海外(4.4%)」の回答も一定数あり、従来の定番にとらわれない、オリジナリティあふれる旅先を選ぶ傾向も徐々に広がっているようです。

(2)新婚旅行にかけた費用の分布
新婚旅行の計画において、多くのカップルが悩むのが「予算」の設定です。旅先や日数、時期によって費用は大きく変動し、人生の大切な節目としてどこまでこだわるかを見極めることが求められます。
ここでは、実際に新婚旅行にかけられた費用がどの程度であったか、具体的な金額帯ごとの分布をグラフにまとめました。リアルな金額感を把握することで、今後新婚旅行を計画の参考になるはずです。
調査結果では、最も多かった費用帯は「30~40万円未満」(13.3%)と「100~110万円未満」(13.2%)という、異なる価格帯に人気が分かれる興味深い傾向が見られました。前者は比較的コンパクトな国内旅行や近隣のアジア方面への旅行が多い層と考えられ、後者はハワイやヨーロッパなど、やや長期の海外旅行を選んだ層と推測できます。
また、「20~30万円未満(12.1%)」や「50~60万円未満(10.8%)」も多く、全体としては20~60万円台にかけて幅広い層が集中していることがわかります。これは、旅行のクオリティを重視しながらもコストとのバランスをとる現実的な選択が主流になっていることを反映しているといえるでしょう。
一方で、「150万円以上」(5.0%)のような高額な新婚旅行を選ぶ層も一定数存在しており、「一生に一度の贅沢」としてこだわり抜いた旅行を計画するカップルも少なくないようです。
対照的に、「10万円未満(2.9%)」や「10~20万円未満(9.5%)」の層も見られ、こちらは近場への短期旅行や、結婚式の費用を優先した結果として旅費を抑えたケースと考えられます。
このように、新婚旅行の費用はカップルの価値観、式とのバランス、旅のスタイルなどによって大きく異なりながらも、“自分たちらしい満足度の高い旅行”を目指して計画している様子がデータから見えてきます。
