結婚アドバイザー認定試験
学習資料
6.新郎の和装の種類
新郎の衣装もまた、挙式のスタイルや会場の雰囲気に応じて選ばれる重要な要素です。キリスト教式、神前式、人前式、仏前式など、それぞれの形式によって衣装に求められる格式や雰囲気が異なるため、単なる好みだけでなく、式の内容や流れとの調和も重視されます。
特にキリスト教式の挙式が主流である現在では、洋装であるタキシードの着用が圧倒的に多くなっていますが、和装やカジュアルなスタイルを選ぶ新郎も見られるようになってきました。
ここでは、挙式スタイルにとらわれず、新郎が実際に披露宴・ウエディングパーティで着用した衣装のパターン(組合せ)についての調査結果をもとに、新郎衣装の現状を読み解いていきます。
調査結果によると、新郎の衣装で最も多かったのは「タキシードのみ」で、全体の72.9%を占めるという圧倒的な結果が出ました。これは、挙式・披露宴におけるスタンダードな装いとして、タキシードが広く浸透していることを示しています。
次に多かったのは、「タキシード+紋服」(11.6%)という組合せで、洋装と和装の両方を着用することで、お色直しや演出の幅を広げたいという意図が読み取れます。
一方、「紋服のみ」(2.8%)や「燕尾服のみ」(0.5%)といった伝統的な衣装の単独使用は少数派であり、格式や伝統を大切にするスタイルを選ぶ新郎が一定層存在することもうかがえます。
また、「カジュアルスーツ」や「タキシード+カジュアルスーツ」といった現代的で自由な装いの選択肢も4~5%程度あり、パーティ婚やレストランウエディングなど、形式に縛られないスタイルの広がりを反映していると考えられます。
「その他(5.0%)」という回答も一定数あり、個性的な衣装やテーマ性の強い装い(民族衣装・デニムスタイルなど)を選ぶカップルも増えていることが示唆されます。
結論として、新郎の衣装においては、タキシードが現在の主流である一方、お色直しや式の雰囲気に合わせて和装やカジュアルスタイルを柔軟に取り入れるケースも増加傾向にあります。結婚式の多様化とともに、新郎の衣装もまた「型にはまらない個性の演出」が可能な時代となっていることが、今回の結果からも明確に読み取れます。

(1)黒五つ紋付羽織袴

男性の和装における正式礼装。厳粛な式にふさわしい格式の高い装いです。羽織は黒無地の羽二重で、背中心・両胸・両外袖の5か所に染め抜きの家紋が施されます。
①羽織 長着と同じ素材で仕立て、同様に紋が施されます。 ②長着 羽二重や御召などを用い、三つ紋または一つ紋を付けます。 ③足袋 白の仕立て足袋で、素材は木綿またはネル地です。 |
(2)色紋付袴

羽二重・紋綸子・縮緬などの素材に、紺・青・グレー・ベージュなどの色を加えた紋付きの羽織袴です。三つ紋または一つ紋が施されており、主に披露宴用の装いとして用いられます。
①羽織 染め抜き五つ紋付き黒無地羽二重 羽織紐は白を用います。 ②白扇 竹骨に白紙を貼った扇子で、帯の左側に挿します。 ③袴 縞織りの仙台平または博多平が一般的。色は黒または茶です。 |
(3)新郎の洋装スタイル
【4つのコートの種類】
結婚式における新郎の装いには、場の格式や時間帯、挙式スタイルに応じた「礼装のルール」が存在します。新婦の衣装に比べると見過ごされがちですが、新郎の衣装もまた、結婚式の印象を大きく左右する重要な要素です。
特に洋装においては、昼と夜で礼装の種類が分かれており、それぞれに歴史や伝統、格式があります。以下では、昼の礼装として用いられるモーニングコート・フロックコート、夜の礼装であるテールコート(燕尾服)・タキシードという4つの代表的なスタイルをご紹介します。
これらの4つの洋装は、時間帯や式の格調、演出のイメージに応じて使い分けられるフォーマルウェアです。たとえば、挙式や披露宴の開始時刻が午後か夕方かによっても選ぶべき礼装が異なり、会場の雰囲気や新婦の衣装とのバランスも重要な判断基準となります。
また、これらの衣装は、単なるスーツとは異なり、伝統的な礼装としての所作や装いの美しさを意識させるスタイルであるため、着ることで新郎自身の所作や立ち居振る舞いにも自然と気品が宿るという点も魅力のひとつです。
以下に、代表的な4種類の洋装スタイルについて、それぞれの特徴と魅力をご紹介します。
- 【昼の礼装】
①モーニングコート

午後6時までの正式な昼の礼装。前裾が短く、後ろに向かって斜めに流れるジャケットのデザインが特徴です。体型を問わずスタイリッシュに着こなせる定番スタイルです。 |
②フロックコート

昼間の正式礼装で、膝までの長さがあるジャケットが独特のシルエットを演出します。ボリュームのあるウエディングドレスとの相性が良く、特に背の高い方におすすめの装いです。 |
- 【夜の礼装】
③テールコート(燕尾服)

午後6時以降の正式な夜の礼装。最も格式の高いスタイルで、「燕尾服」とも呼ばれます。前身の丈が短く、後ろがツバメの尾のように長く伸びているのが特徴的なデザインです。 |
④タキシード

午後6時以降の準礼装。体型に関係なくスマートに着こなせるため、多くの新郎に人気があります。デザインのバリエーションが豊富で、最近ではロング丈のタキシードが主流です。 |
(4)欠かせない小物
- ①ポケットチーフ
正式な場では白が基本ですが、お色直しの際には新婦のドレスと色を合わせるとおしゃれな印象に。胸元を華やかに演出してくれるアイテムです。
- ②ウイングカラーシャツ
ウイングカラーは正礼装にふさわしい襟型で、色は白が基本。プリーツなしのシンプルなタイプが一般的です。袖口にカフスボタンが使えるかどうかも事前に確認を。
- ③サスペンダー
パンツのずり落ちを防ぐとともに、腰まわりのラインを整えて美しいシルエットをつくります。足長効果もあり、フォーマルスタイルには欠かせないサポートアイテムです。
- ④手袋
白の手袋が基本。着用はせず、バージンロードの歩行時や挙式の入場シーンで新郎が手に持つのが一般的です。フォーマルな所作を引き立てる演出小物として活用されます。
- ⑤カフスボタン
ウイングカラーシャツに合わせて使用することが多く、袖元をさりげなく格上げしてくれるアクセントアイテム。シルバーやパール系が定番です。
- ⑥靴(フォーマルシューズ)
黒のエナメルやプレーントゥの革靴が基本。装いに応じて靴下も黒の無地を合わせましょう。
- ⑦タイピン(必要に応じて)
ネクタイをきれいに固定し、胸元の印象を引き締めます。モーニングやタキシードスタイルのアクセントに