結婚アドバイザー認定試験
学習資料
7.結婚式の定番演出一覧
結婚式には、挙式や披露宴それぞれの場面において、新郎新婦の門出を華やかに彩る演出が数多く用意されています。こうした演出の多くは、感謝の気持ちを伝える場面や、ゲストとの一体感を高める工夫として取り入れられており、結婚式ならではの温かな雰囲気を演出してくれます。
演出の内容はカップルの個性や式のスタイルによってさまざまですが、ここでは多くの結婚式で見られる“定番演出”を、挙式と披露宴・ウエディングパーティに分けてご紹介します。
結婚式の演出は、単なる「イベント的な盛り上げ要素」ではなく、感動を生むきっかけや、ゲストとの思い出を深める大切な仕掛けとして多くの式で採用されています。
たとえば、挙式中の演出は、家族やパートナーとの絆を象徴的に表す場面として重視される一方、披露宴やパーティでの演出は、祝福ムードを高めながらゲストと楽しさを共有することが目的となるケースが多く見られます。
また、近年では形式にとらわれず、自分たちらしい演出を自由に組み合わせるカップルも増加傾向にあります。伝統的なものから新しいスタイルまで、演出の選択肢は年々広がっています。
以下に、挙式と披露宴・ウエディングパーティそれぞれの場面で用いられる定番演出について、代表的なものを取り上げてご紹介します。
(1)挙式の際の演出
- ①フラワーシャワー・ライスシャワー
フラワーシャワーは、結婚式の退場やセレモニーのあとに、新郎新婦に向けてバラやカーネーションなどの花びらをまく演出です。もともとはヨーロッパの風習に由来し、花の香りで悪霊を払い、ふたりの門出を祝福するという意味が込められています。
ライスシャワーは、新郎新婦の頭上にお米をふりかける演出で、「子孫繁栄」「五穀豊穣」「食に困らない豊かな暮らしを願う」といった意味が込められた、古くからの欧米の祝福の風習です。教会式や人前式の後、チャペルの外やバージンロードで行うのが一般的です。
- ②ベールダウン
ベールダウンとは、結婚式の直前に新婦の顔の前にウェディングベールを下ろす儀式のことを指します。
通常は新婦の母親が行い、「娘を守り、送り出す」という意味が込められています。ウェディングベールには、古代ヨーロッパにおいて「邪悪なものから花嫁を守る」魔除けの意味がありました。そのため、ベールを下ろす行為は、母親が「娘を守る最後の役目」として見届ける感動的な儀式として定着しています。
- ③バージンロード演出
バージンロードは、キリスト教式の結婚式において、結婚式場の入り口から祭壇に至る通路およびそこに敷かれる布を指す、日本の結婚式場業界が名付けた和製英語です。英語では結婚式場の通路であることを明確にする場合はwedding aisleを使用します。
プロテスタントの教会では白い布が敷かれることが多く、カトリック教会では赤い布が敷かれる場合が多いようです。教会で行われる結婚式において用いられる場合は、新婦とその父親がこの布の上を歩いて入場します。
- ④ブーケトス・ブロッコリートス
ブーケトス(Bouquet Toss)は、新婦が結婚式の披露宴や二次会の場で、背を向けて未婚の女性たちに向かってウェディングブーケを投げる演出です。この演出は西洋の習慣に由来し、「ブーケを受け取った女性は次に結婚できる」というジンクスがあります。本来の起源は、幸せのお裾分けとして、新婦の花束を分けたり、投げたりしたことにあるとされています。
ブロッコリートス(Broccoli Toss)とは、新郎のブーケトス版で、茹でたブロッコリーにリボンを巻いて投げる演出です。近年の日本で生まれたユニークな演出で、ブロッコリーは「房が多くて子孫繁栄を象徴する」とされることや、「健康によい野菜」という意味合いもあり、縁起物として選ばれています。
- ⑤ジャケットセレモニー
ジャケットセレモニーは、結婚式で新郎がジャケットを着る瞬間を演出の一つとして取り入れるセレモニーです。新婦や両親、あるいは大切な人がジャケットを新郎に着せてあげる、もしくは新郎自身が着用する姿を見守ることで、新郎が「夫」として歩み始める第一歩を象徴します。この演出は日本で生まれた比較的新しいもので、西洋のブーケトスやベールダウンのような明確な宗教的・文化的ルーツはありません。
一方で、「タキシードを身にまとう=責任と覚悟を持つ」という意味を込めて、人生の門出としての儀式化が進んでいます。
- ⑥親への花束贈呈
「親への花束贈呈」は、披露宴のクライマックスで新郎新婦が両親に花束を贈るセレモニーです。
多くの場合、新婦の手紙朗読の後に続く演出として行われ、会場が感動に包まれるシーンとなります。
これまで育ててくれた感謝の気持ちを、言葉とともに花束に託して贈り、親からの自立、旅立ちを象徴します。家族間の愛情や絆をゲストに伝える感動的な演出です。近年は、花束に加えてまたは代わりに、記念品を贈るスタイルも増えています。
(2)披露宴・ウエディングパーティに関する演出
- ①ウェディングケーキ入刀
披露宴の中盤あたりで行われる人気セレモニー。新郎新婦が一緒にナイフを入れ、結婚のはじまりを象徴します。続けて行う「ファーストバイト(お互いにケーキを食べさせ合う演出)」も定番で、ゲストにとっては絶好のシャッターチャンスとなります。
- ②ファーストバイト
ケーキ入刀の後に、新郎新婦がスプーンでお互いにケーキを食べさせ合う演出。「新婦から新郎へ」は“食べるものに困らせません”、「新郎から新婦へ」は“一生美味しいものを食べさせます”という意味が込められています。
- ③親への花束贈呈
披露宴のクライマックスで、感謝の気持ちを込めて両親に花束を贈る感動的なシーン。最近では、花束に代えて記念品や手紙を添えるカップルも増えています。
- ④キャンドルサービス
お色直し後の再入場で行う定番演出。新郎新婦が各テーブルを回ってキャンドルに点火します。「かまどの火を両親から受け継ぐ」ことに由来するといわれています。
- ⑤キャンドルリレー
キャンドルサービスの進化形。ゲスト同士が火をリレーし、最後に新郎新婦がメインキャンドルに点火します。会場が一体となる幻想的な演出です。
- ⑥テーブルフォト(テーブルラウンド)
新郎新婦がゲストの各テーブルを回り、一緒に写真を撮影します。各卓での交流や、記念として写真を配るサプライズなどにも応用できます。
- ⑦生演奏
弦楽四重奏やピアノ、ジャズバンドなどによる生演奏は、会場を上質な空間に変えてくれる人気の演出。プロの演奏だけでなく、友人や家族による演奏も感動を呼びます。
- ⑧デザートブッフェ
披露宴終盤に行う食の演出。ゲストが自由に好きなデザートを選べるスタイルで、特に女性や子どもに人気です。写真映えするコーナーとしても注目されます。
- ⑨入退場のエスコート
お色直しの際などに、親や親しいゲストにエスコート役をお願いする演出。母親や祖父母、サプライズで友人に頼むこともあり、感動的かつ盛り上がるシーンになります。
- ⑩ブーケトス
挙式または披露宴中に行う、未婚の女性ゲストへの演出。花嫁が後ろ向きになってブーケを投げ、受け取った人が“次に結婚できる”というジンクスがあります。
- ⑪プロフィールパンフレット
披露宴の開始前に配ることが多く、新郎新婦のプロフィールやなれそめ、趣味などが紹介されているパンフレット。ゲスト同士の会話のきっかけにもなります。
- ⑫ラッキードラジェ
ケーキの中にドラジェ(アーモンド菓子)を数個忍ばせ、当たった人にプチギフトを贈ったり、スピーチをお願いしたりするゲーム感覚の演出です。
- ⑬オープニングムービー
披露宴の冒頭に上映する映像で、二人の入場を盛り上げます。ユーモアのある編集やドラマ風の構成など、個性が出せる人気の演出。
- ⑭サウンドセレモニー
色の異なる砂を一つの器に注ぐセレモニーで、「ふたりの人生が一つになる」ことを象徴します。家族を交えて行う演出も感動的です。
- ⑮レターセレモニー
親やパートナーにあらかじめ手紙を書いておき、披露宴の中で読み上げたり、手渡す演出。手紙を読まずに渡すだけでも十分な感動を生みます。


